MELODIE MC

今日の帰宅途中、ピリリリリって電子音が聞こえた、あー誰かの携帯電話が鳴ってるんだなーと思うも周りには自分しか居ない。勿論自分の携帯電話はいつも通り、動かざるごと山の如しの体でなにも鳴っていない。
辺りを見回すと道路にガラケーらしきものが、青くピカピカと一部を光らせながらピリリリリリと音を鳴らしている。
いやいや夜遅くに車通りがほぼなくなるとはいえ、道路のど真中、更に言えば雨だってうっすらと降っている。それが何故に自分の無事を告げるかのように青く光り音を鳴らせているのか。
これは俺に何かのメッセージを伝えたい者が俺の姿を確認してからそこに置いたとしか思えない。係わらない方が良いと思っている頭を裏切るかのように体は道路に降り電話を拾い上げる。

恐る恐る電話の通話ボタンを押す。

低く何か喉に詰まっているかのような男の声で「俺の事は誰にも知らせるな、お前が土を掘り埋めろ」と。更に「誰かが俺を見つけたらお前は俺と同じになる」と。
何を言ってるんだろうこいつは、と思う間もなくびゅうと強い突風が。

突風で目を瞑っていたのに気付き、ゆっくりと目を開ける。カツン、カツンと何かの音が聞こえる。
音がする方を向くと、道路に隣接している公園のジャングルジムが見えた。そのジャングルジムに何かがぶら下がっており、先程の突風でそれがブラリブラリと揺れて、そのぶら下がっている物の先端がジャングルジムにかする度にカツン、カツンと音を鳴らしている。
その先端部分は革靴だ。ゆっくりと目線を上に移す。スーツのズボン、スーツの上着、ネクタイ、荒縄、何かしらの液体が垂れている口、何かしらの液体が垂れている鼻、そして絶望的に見開いている目と目が合う。それと同時に口がパクパクと動く。耳に付けっぱなしにしているガラケーからそのパクパクとリンクする声が聞こえる。

「早く埋めろ」

携帯電話を投げ出し一目散にその場から逃げ走った。

ギャーっ!コエーよ!なんだこれ!携帯電話拾って持ち主に届けて善い事したなって話し書こうとして何で怪談になってんのよ!誰だよこれ書いたの!俺だよ!

てな訳でMELODIE MCだ。どんな訳だバカ野郎。

90年代の北欧クラブミュージックのヒップホップ寄りの音っす。
この辺の音って独特の軽やかさがあるやね。ABBA由来の軽やかさがあるやね。一本調子なメロディをバックの演奏又はトラックで聞き飽きない様にするのは正に北欧の人らしいね。こういう音楽でも北欧ポップスから逃れられないのは、夏の夜道が怪談から逃れられないのと一緒!

軽やかなアクセント盛りだくさんのバックトラックにMELODIE MCさんのラップがこれまた軽やかに飛び回ってる。んでも何故か明るく成りきれないっていう北欧音楽の魅力を存分に堪能出来るアルバム。これ聞いてりゃ夏のフラフラクラクラも楽しくなってくるかも。


Northland Wonderland

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